2020.5.20 JYUKU生の皆様へ 樹液滲出が教えてくれたもの
JYUKU生の皆様へ これは双幹のカイノキですが、右半分の葉が小型化し、色が少しあせています。現場ではこの様な外観の違いを目にすることがあります。これも始めて経験した事例です。現状の元気なカイノキはJYUKUの現地見学会で案内します。
根元のコケを取り除くと樹液の滲出があり、樹皮を剥ぐと樹液を境に左側は真っ白な菌糸膜が出現、右は健全でした。健全部との境目に樹液が出ていることが解りました。後に、根元に出現した子実体により、ならたけもどき病と判明、当時考えられる方法を全て駆使して対策をした結果、双幹の左側を残して樹形も整い、たまたま樹勢を回復した事例です。この樹液滲出が後々の「ならたけもどき病」の早期確認の手法の一つとなりました。
これはサカキの事例です。(下記PDFの抜粋添付資料を参照下さい)
黒い樹液の痕跡が左から上部へ伸び、右の枝に連続していることが解ります。
樹液の痕跡を堺に樹皮を剥ぐと下側の樹皮下は全て菌糸膜に覆われ、剥いだ樹皮を嗅ぐとキノコ臭がします。
同様の樹液滲出現象は、サクラ、コウヨウザン、キンモクセイ、モミジ等でも被害確認の検証に役立っています。対象樹木が菌と戦っている 健全部と被害部 の境目は良く樹液を出します。樹皮を剥ぐと明確に分かれています。最終的には全体樹勢、子実体、採取した検体の同定等々で総合的に結論を出しますが、事例を積み重ねると樹液滲出を見つけることにより早い段階で被害の推察が可能になります。白紋羽病などでも事例は少ないですが同様の現象を確認しています。過去に連続した樹液滲出をみてカミキリの幼虫加害だと言われた人がありましたが、全体の衰退状況等の特徴をみて、樹皮を剥いで確認すれば判別は容易です。現場を重ねると色々気がつくものです。
このPDFは2ページあります。
サカキブログ用
宗實塾長
今晩は次々と塾長の「見える化の実例成果」を報告、ご教授いただきまして
ありがとうございます。
ならたけもどき病は森林植物園でも多くの樹種で発生しており、私が植物園に
配属になった頃はヒマラヤスギに発生し、その後はコナラやミズメ、カエデ類と
つぎつぎ、どんな樹種も枯らしてしまう!大変厄介なものと、先輩職員からは
手の施しようがないだよなぁー。と言われ、そうなのかーと思っています。
もし、罹病した樹木の初期症状の段階で何らかの処置をすることで治療効果が
現れるのでしょうか。
森林植物園も今年で起工80周年を迎え、展示樹木も樹齢的に樹勢が衰える樹種も
多く見られます。園内を巡回しながら半世紀の時を振り返りつつ、あまりにも
樹病に関しての取り組みが出来なかったことを反省しています・・・。
今後は今まで以上の観察の目を光らせて取り組んで行こうと思います。
そのためには塾長のような正確な調査記録をとり、整理しておくことを
実践していこうと思います。
jyuku生:福本
福本様
見える化(可視化)は至る所で必要です。特にクライアントにご理解いただくことは何よりも重要であり、その手法の一つとしても活用出来ます。
引き続き実践事例をブログや現場で紹介していきますのでご期待下さい。
宗實