2020.10.8 JYUKU生の皆様へ 塗布剤による産卵防止抑制検証結果

JYUKU生の皆様へ 今日は雨の中でしたが、県内のナラ枯れ被害木の調査でした。今回は検証結果3例目の紹介です。2018年5月に激甚被害地においてクビアカツヤカミキリ産卵抑制試験で塗布した塗布剤の結果です。2018年8月に1カ所フラスが発生、調査の結果、前年に既に産卵され、穿孔していた幼虫と判明、この塗布剤は既に産卵、孵化後の幼虫には抑制効果が無い事が判明しています。(ブログ掲載済) 同じ試験木から本年8月にも1カ所フラスが発生、捕殺した幼虫サイズと時系列に事象を整理した結果、塗布した2018年の夏に産卵、穿入されたことが判明しました。その要因は後述します。このサクラの試験木は色々なことを教えてくれました。2020年9月20日現在、他の塗布剤試験木4本からフラスの滲出は見られません。

メーカーの仕様では塗布の持続効果は1年となっていますが、当年度でも塗布の仕方、塗布の部位、樹木の肥大成長、皮目、萌芽等々により部分的に皮膜が欠如したり、亀裂が入るケースが確認されました。樹齢が若い木ほど顕著にその現象が現れます。下の写真は萌芽(中央上部)、塗布欠如(右上部)、肥大成長による亀裂(中央)です。クビアカの産卵行動を観察すると正に、この様な窪みに産卵していきます。100%の産卵孵化は抑制できませんが、塗布試験木5本の結果から毎年、発生直前に塗布する事により、産卵、孵化率はある程度抑制できると思われます。(詳細データ、施工上の注意点、メンテナンス等についてはJYUKUで説明)

加害部分の処置は、排糞孔を中心に、樹体へのダメージを考慮しながら一部樹皮を剥ぎ、被覆鋼線を挿入していきます。幼齢が進むと孔道は複雑に曲がって深くなります。今回、4方向の内の上部方向、深さ15cmでプチ!と言う感触で確認、更に鋼線の先端に乳液状のものを確認、これは幼虫に間違いない、何とか確認したいと鋼線の先端を加工して取り出すことに成功、越冬前の幼虫は必ず孔道の上部にいるいることも改めて確認できました。(幼虫サイズが解らないと産卵された年度が判明しません)

幼虫サイズは3cm、時系列的に検証して2018年の夏に産卵、孵化されたものと確認しました。

その後、念のために殺虫剤を注入、殺菌剤で保護処置をしました。又、2019年以降にも同様の被害を受けている可能性があるため、最新仕様のクビアカガードネット巻き付けを行いました。この事例の最新仕様巻き付けは、後日掲載します。

この様に検証は、時系列的に調査、解析し、一つ、一回の事象だけで資材(塗布剤等)を全否定するのではなく、施工方法、施工タイミング等改善を進め、ある程度産卵、孵化抑制率が下がるのも一つの効果として、更に検証を続けていきたいと思います。まだまだ物理的な抑制方法の検討は続きます。

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2020.10.8 JYUKU生の皆様へ 塗布剤による産卵防止抑制検証結果” に対して1件のコメントがあります。

  1. 日本ワイドクロス 鎌田 より:

    宗實先生

    お世話になっております。
    塗布剤の効果検証試験の結果も掲載されているのですね。塗布剤は、決して効果が出ないものでは無く、防除効果を高めるための一つの手段として、とても有効で大事なものですね。
    これも現場に行くことで分かることなのだと思います。

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