2020.10.7 JYUKU生の皆様へ クビアカガードネットは脱出抑制に効果あり 「百聞は一見に如かず」

本年度のクビアカツヤカミキリの防除効果の評価をまとめています。先日、クビアカガードネットの成虫捕獲検証を行いました。この試験木は本年1月に樹木医グループが「クビアカガードネット」を過去の脱出孔や、多くフラスの出ている被害木1本にフラスを取り除き殺虫剤を注入後設置しました。先日の防除対策効果調査の結果、0.4mm目合いネットは噛み切られず、成虫の脱出抑制ができる理論を、成虫現物確認で検証した第一号事例です。(関東方面の施工現場からも噛み切られない、強い!と情報がきています。)

設置時の状況ですが、このサクラがある場所は通路となっているため、9月の開梱評価時までに6月~9月で5回、観察、点検一部補修を行っています。(殺虫剤の注入も行っていますが材内深く侵入した幼虫十分な効果が出ていません)

下記写真はネット内の死骸。写真中央下にあるネットの窪みは(キズは、成虫が噛み切ろうとした痕跡です)

下記写真は今回開梱したクビアカガードネット内の成虫死骸です。(合計3頭)サクラも衰退が進んで水分量が減ってサラサラ常態のフラスです。

このサクラでのクビアカガードネット脱出防止抑制検証は終了、一旦撤去しましたが、材内に残っている幼虫の来年脱出時期までに殺虫、脱出、再産卵対策を他の防除対策団体の動静を見ながら管理者と打ち合わせの予定ですが、著しい樹勢衰退は避けられない状況です。

「百聞は一見に如かず」と言いますが、常に変化する状況を確認しながら得た事実は次の改善に大いに活かす事ができます。当日参加いただいた皆様は、この「クビアカガードネット検証結果」や「根株被覆防草シートの効果」を目の当たりにして納得いただけたと思います。

注意事項!

クビアカガードネットの巻き付け方は「被害木」と「未被害木」とでは違います。被害激甚地域では、当年、フラスが出ていなくても既に産卵されているケースが多々あります。(このブログでも事例事例紹介しています)その可能性がある対象木は必ず「被害木仕様」幹からネットを浮かした巻き付けを行って下さい。フラスがネットと樹皮の間に堆積するとクビアカの幼虫が排糞孔を新たに開けるためネットが幼虫に噛み切られ、最悪、条件が整うとこの孔から成虫が脱出する場合もあります。

下記写真は、産卵された被害木に密着させてネットを巻いた場合、クビアカの幼虫が排糞できずに新たにネットを噛み切って排糞孔からフラスを排出している状態です。樹液も出て塊状に付着しています。当然、幹の下にもフラスは堆積しています。

クビアカツヤカミキリ幼虫と成虫と顎の構造が違うため、幼虫は噛み切る力が強いと言われています。(孔径は約4~7mmになります)この孔径は、成虫脱出に利用されることが想定されます。

これらの結果から、被害木には浮かした状態(テント仕様)で巻き付ける事、万が一、フラスが樹皮とネットの間に堆積して一体化した場合は、速やかにフラスを除去して下さい。(フラス排出期や成虫脱出期の巡回点検、メンテナンスは重要です)

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2020.10.7 JYUKU生の皆様へ クビアカガードネットは脱出抑制に効果あり 「百聞は一見に如かず」” に対して1件のコメントがあります。

  1. 日本ワイドクロス 鎌田 より:

    宗實先生

    お世話になっております。
    クビアカガードネットの効果を、大変分かりやすくまとめて頂いておりありがとうございます。

    「百聞は一見に如かず」その通りだと思います。現場に行くと新たに気づかされる事が多くありますね。

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