2021.2.7 JYUKU生の皆様へ 心配事が的中しました。
2月5日に兵庫県の最南端(南あわじ市)の神社社叢林のアカガシのカシナガキクイムシ被害調査を行っていました。ここの地は2019年5月18日、南あわじの山林でカシナガの太平洋型を捕獲して徳島からの飛来を確認するため捕獲器をセット、帰路訪問した場所です。(この調査では6月5日に1頭太平洋型を初捕獲) 2019年のこの日は天気も悪く、登山道は狭く、車が交差できず悪路が延々と続き、遭難するのではないかと思うほど大変な場所でした。途中、登山道でカシナガの被害木を1本確認、 間違いなく神社屋の社叢林アカガシの当該年度に加害されると関係者に警鐘を鳴らした場所です。 幸い、その日確認した範囲の神社の社叢林のアカガシは被害は受けていませんでしたが、先日、調査依頼があり、2020年2月5日に現地訪問すると心配したことが的中していました。
写真は社叢林の様子です。写真に写り込んでいるのは大半がアカガシです。
下の写真は2018年9月4日の台風21号で倒れたアカガシです。このような倒木や折損した大枝が複数見られます。(台風21号は関空などでもタンカーが橋脚に追突する被害が出ました)
この倒木した半枯れ状態の木が2019年の夏に最初のカシナガ加害を受けています。 (倒木や枝折れで衰退した木はカシナガを誘引する可能性が高くなります)
下の写真は穿入生存木です。2020年に加害を受けています。今の時期は、新たなフラスは排出されず、雨水が直接かからない場所に堆積し残っており、穿入孔も確認できます。高さ5m以上の所も穿入被害があります。
雨水がかからない窪みにフラスが残っています。又、フラスを排出した穿入孔も窪みの上側に確認できます。
当日の簡易調査では4本被害木が確認されました。
さて、これからどうするかカシナガ対策歴17年の樹木医の腕の見せ所ですが、この歳になると命がけの場所での作業は関わりたくなくなります。しかし、不思議なご縁と、当日お目にかかった宮司さんのアカガシの社叢林を護りたいとの熱意に一肌脱ごうと決意して、先ほど簡易報告書を仕上げました。
報告書(提案書)をブログ掲載することは出来ませんが、このような案件の重要なポイントは、一般論では無く、費用対効果を考慮していかに現実的、実現可能な提案をするかです。又、この機会を捉まえて保存会や地元の皆さんに改めてすばらしいアカガシの社叢林に関心をもってもらい対策に参画していただき、後世に残せる持続可能な体制を作っていくかです。
この神社は、スケートで超有名な方と同じ名前でフアンの参拝者も多く、この被害木の第一発見者もフアンの方だそうです。
難しいですがやりがいがあります。(興味のあるJYUKU生は是非全体調査や、対策に参加下さい)