2020.9.7 JYUKU生の皆様へ 台風の影響下での樹木調査
JYUKU生の皆様へ 台風10号の影響が残っている中、役所からの依頼で予定をしていた社叢林の調査を行いました。この社叢林は1987年保存樹に指定されており、倒木や枝折れにより社殿や参拝者への安全が懸念されるための調査です。7年前にも同様の調査を行っており、その結果、社殿の周辺は大径木などが整理されましたが、手がつけられていない樹木を時系列的に見てほしいとの依頼でした。
現場到着時には、風雨が強く中止を検討したのですが、雨がやんで風による影響を観察するには好都合とヘルメットを着用して強行しました。現場には、大枝が落ちており、関係者に説明するには好材料でした。
安全を考えれば、不安要素のある木はどんどん切っていけば良いのですが、 社叢林の形態を維持しながら、限られた予算の中で安全を最優先にした提案が求められます。
正式な調査ではなく、簡易調査の範囲ですが責任は重大です。処置内容の優先順位を①参拝通路頭上の枯れ枝除去、両側の枯死木切除、②参道沿いで主幹に損傷が見られる高木の切り下げによる主幹折れリスクの軽減 ③建物の上に伸びている大枝の切除を提案しました。幸い、この神社の高所伐採は知人の樹木医が担当しており、これらの処置についても依頼していただくことにしました。(一安心です)
この 社叢林は、 劣悪な土壌条件により板根の発達したシイ類も多く、興味深い景観が見られます。現在心配な要素として「カシノナガキクイムシ」による被害が、この地域でも蔓延してきており、これらの対策も急がれる状況です。
地域貢献の一つとして、ボランティアで調査を続けていますが、「ボランティアだからこそより真剣に、確実に」との信念で、元気な間は続けていこうと頑張っています。
宗實先生
いつもお世話になっております。
厳しい気象条件の中の調査で、お疲れ様です。
形態の維持と被害の抑制をどのように両立するかを考える事が、樹木医の皆さまの仕事なのだと感じます。
調査の際には、くれぐれもお気をつけください。
日本ワイドクロス 鎌田