2023.6.20 クビアカ成虫を今年初確認(兵庫県)
兵庫県では今年、クビアカツヤカミキリのフラスを4月に確認していましたが、6月20日巡回中に成虫♀を確認しました。
全国各地からのクビアカツヤカミキリ発生情報に基づき、昨年兵庫県で被害が確認された明石市、神戸市、芦屋市を巡回調査していますが、6月20日に芦屋市の茶屋の町さくら通りで成虫♀1頭を確認、捕殺しました。発見時の状況は、昨年の被害木(樹幹注入、脱出防止ネット被覆済)のネット内で確認、脱出孔も確認できました。兵庫県、芦屋市の担当者立ち会いの中、捕殺を行い、3時間後には記者発表、関係部署に情報伝達が行われています。兵庫県ではこのようにいち早く情報を開示して県民の皆さんに協力をお願いする体制が整っています。
下の写真左上、ネット内でもがくクビアカツヤカミキリ♀。ネットは網目の横糸がよじれますが縦糸はそのままの現象がみられますが「もがき痕と言う」、あごの構造上嚙み切られることはまれです。習性としてクビアカはネット内を上に上にと移動して浮かせヒモ(上部のネット内白いPPロープ)の所に留まります。(見つけるポイント)
ネット内での状況。
ネット外からの状況、脱出しようとあごの片方の先がネットの網目から出ている。長時間もがくと網目は偏るが噛み切られる可能性は少ない。
下の写真は横糸が偏っている状態、縦糸はそのまま残っており、ネットの強度が確保できて脱出はできない。この現象を「もがき痕」と言い、ネット内に捕獲されている目印にもなるので巡回点検では注視して下さい。
樹幹注入の注意点と巡回の重要性
この被害木はフラス排出部が少なく、排糞孔や脱出予定孔などにエアゾール剤を注入、樹幹注入も行っており、昨年フラスの排出が止まっていました。しかし、色々な事例からエアゾール剤は孔道深部には到達しにくく、又、樹幹注入剤も産卵初年度の樹皮直下、浅い部分に幼虫がいる場合はある程度の効果が得られますが、2年目以降穿入孔により材内深部に侵入、翌年の蛹室形成までの段階になると効果が得られません。残っている幼虫が羽化脱出する可能性があったため0.4mm防虫ネット(クビアカガードネット)で被覆していました。幸い捕獲することができましたが、引き続いて脱出する可能性があります。ネット巻きの注意点として、脱出時期は1日~3日間隔で巡回、内部を観察する必要があります。脱出成虫が複数で♂♀成虫が脱出した場合、すぐネット内で交尾産卵されてしまいます。兵庫県内は昨年の被害発生地で更に被害範囲が拡大、又近隣市町に拡散していると思われますので今年も市民への啓発と市民から情報提供の協力が急務となっています。
脱出防止ネットの上部ロープ部に、脱出しようとするクビアカ成虫が集まる。
横糸は偏る「もがき痕」がある。
ネット点検の際には、気を付けます。
最盛期は1~3日ごとに点検って、近くに住む住民を味方につけないと難しいですね。