2020.6.10 JYUKU生の皆様へ クビアカツヤカミキリの被害拡散は防げない。

各地から2020年度のクビアカツヤカミキリの被害情報が届いています。関東では群馬県で成虫確認の第一報が、関西では、新たに和歌山県岩出市で、奈良県は香芝市、葛城市、大和高田市で被害が確認されました。香芝市や広陵町ではすでに成虫を確認、生駒市では被害が確認されていましたが、今年はフラス、幼虫確認による被害も確認され、被害拡散が本格化していることがわかります。10日は奈良県庁でクビアカ情報交換会に出席していましたが、当日朝のNHKニュースでも和歌山の被害が報じられるなど被害の拡散は予想以上です。「クビアカツヤカミキリの被害拡散は防げない」との持論で啓発活動をおこなっており、「早期発見によりいかに被害を軽減するか」「特定の樹木、果樹を守るか」にかかっています。登録農薬も増えてきていますが、長所、短所があり、物理的防除と組み合わすことではじめて被害を軽減することが出来ます。物理的防除はインフルエンザの予防と同じマスクの役目のネット(成虫の脱出、産卵、浸入防止)を数年前から試験施工して、その検証結果を資材メーカにフィードバック、製品の改善と施工手順、注意事項などに活かしています。その中で新たな事実が確認されましたのでご報告します。

ネット(0.4mm目合い)は、成虫には噛みきられないが、幼虫は顎の構造上噛みきる場合があるのです。その現象は、被害木にネットを密着して巻き付けた場合、フラスが堆積して、樹皮、フラス、ネットが一体化すると発生します。注)この現象は想定して、クビアカ専用の「クビアカガードネット」の巻き付け方、点検により解消しています。

写真は、試験施工のネット(0.4mm目合い、ホワイト)、未被害木を想定して施工しましたが、既に産卵された被害木であったため、排糞目的で幼虫が孔をあけている。(現在の被害木の施工は、テント巻き仕様で幹とネットが接することはありません。未被害木は産卵防止の目的でストレート巻きスカート連結仕様と分けた施工方法になっています。)

ネット外にほとんど排出されずに、ネットと樹皮の間に堆積し、排糞孔を圧迫、板状に塞いだフラスの一部。結果、フラスの保湿により、食害した樹皮下は腐朽菌が繁殖、フラス内に不定根が発生している状態で、幼虫にとっては想定外の現象だったと思われ、ネットにあわてて排糞孔を開けたと思われます。

材内穿入孔は一つ、未使用の脱出予定孔も一つであり、穿入孔の深さ18cmで幼虫(蛹)と思われる個体を刺殺、念のため殺虫剤の注入を行いました。ネットは新しく専用の「クビアカガードネット」を巻き付けています。この現場と経過等々の詳細は6月27日のクビアカ研修で説明します。

カシノナガキクイムシで15年以上0.4mmネットによる被害軽減を図ってきた経験から、今回3年前にクビアカツヤカミキリの産卵防止試験施工をしたネットで偶然、幼虫による噛みきられる被害を確認出来ました。施工現場は常に想定外の状態で施工する場合があり、その結果イレギュラーな現象が発生します。常にこれらのことを想定しながら資材開発、施工方法を進めていく必要があります。しかし、「虫はムシの都合、人はヒトの都合がある限り」クビアカツヤカミキリの拡散は防ぐことは不可能です。とにかく現場は面白いですね。

Follow me!

2020.6.10 JYUKU生の皆様へ クビアカツヤカミキリの被害拡散は防げない。” に対して1件のコメントがあります。

  1. 宗實久義 より:

    クビアカ初発情報
    埼玉県越谷市で12日♂成虫、草加市で13日♂成虫の初発情報がありました。(加納様情報提供有難うございます)
    今年は、コロナの関係で関東圏の被害調査に行けなくて大変残念です。

    宗實

    1. 宗實久義 より:

      クビアカ情報
      奈良県で新たに田原本町で被害が確認されました。

      SNSで話題になっている情報
      福井県の池田町にある部子山(へこさん)
      http://www.e-ikeda.jp/see/p004019.html
      の山頂で見つけた と書かれています。
      (真偽の程確認中です)

      宗實

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)